3度目のティファナ、スリに遭う

わたしの住む家からメキシコまで、車で20分程度。グリーンカード保持1年を迎えた日に、お祝いに友達とメキシコ・ティファナ、通称TJに遊びに行ったのですが...



ご存知の通り、国境の街ティファナは治安が悪い。サンディエガンの間では「行ってはいけない場所」という暗黙の了解があるんですよね(笑)
でも友達がメキシカンでスペイン語がペラペラ、数え切れないほど観光客を連れて行っているので、彼とこの日以前に2回国境を渡っているんです。数年前の話ですが。

そんな感じで抵抗もなくなってきて、その夜も"Grab your passport, we're going to TJ"って彼の言葉のままに車に飛び乗りました。

パスポートは命の次に大切なので、服の下に隠せる小さなかばんに入れて。。
バッグを持って行こうか迷ったのですが、携帯と現金くらいしか持って行くものもないなと、ポケットに突っ込んで出発。

しばらくダウンタウン(レボルシオン通り)をぶらぶら、前回昼間に来た時と変わらず、ボロボロの建物が並ぶ通り。廃墟も何件かあり、夜に見ると少し不気味。。
しかし土曜日の夜ということもあって、人でにぎわっていました。着飾ったドレスの若い女の子が目立つ。アメリカ人はほとんど見なかった。アジア人というだけで、すれ違う人々にかなりガン見される(笑)
コンビニOXXOで友達がcigarrettesを買う。マルボロメンソールなんですが、なんかパッケージも違うし、こっちでいうUltra Lightsくらいですごく軽いらしい。やっぱり質が悪いのかな。。
レジをしていたコンビニの女の子に、Do you guys have matches?と聞くと聞き返してきて、Matches?ともう一度言うと、Oh, matches.と繰り返して、新しい言葉を学んだようにはにかんでうなずく。マッチを英語で何と言うか知らなかったみたい。
何だかとても控えめで純粋な感じの子で、サンディエゴにいるメキシカンの女の子たちの気が強いイメージとは正反対で、もしかしたらメキシコのメキシコ人(?)はもっとhumbleなのかな、なんて思いました。

友達お気に入りのバーに行き、薄暗い中でSol(太陽)というビールとテキーラのショットを注文。ビールは美味しかったけど、テキーラはサンディエゴで飲むのよりかなり弱く感じて、これも薄められてるのかな...とか思わず疑ってしまう(笑)
でもドリンク代はすごく安くつきました。ショットは$3.50。外国人プライスだとしても、アメリカの半額!(ちなみにティファナではアメリカドルが使えます)

そこでカラオケをした後、友達が車にワイン持ってるというので、テキーラの後のワインかよ、、と思いつつ車まで歩く。
いたずらされないように、通りにある立体駐車場に停めたのですが、その立駐の入り口で一人のおっさんが声をかけてくる。
友達がスペイン語で何やら応える。(後で聞くと、ただでストリップ・バーに入れるパスを持っていると言ってきたのを断ったらしい)
車の方に歩きながらも、その男がよほどしつこかったのか、友達は最後には声を荒げて"I know what I'm doing!"と振り返りながら英語で言う始末。わたしも"We parked our car inside so."なんて説明しながら、彼と前に向き直る。。。

その時、前方からすごいスピードで走ってくる別の男が。その男は友達の金でできたネックレスをつかみちぎって、友達がHey!と怒鳴るも、そのまま走って人ごみの中へと消えていって...
さっき勧誘してきた男も、後を追って通りに出て、ちょうどやってきたタクシーに乗って去っていきました。

もう、一瞬の出来事で、飲んでいたこともあり、二人とも文字通り呆然。

数秒後、我に返った友達が首に触れて、"My mom's chain..." とつぶやきました。

彼はまだティーンエイジャーの頃に母を亡くしていて、そのネックレスが唯一の形見やったんです。(T__T)
わたし自身泣きそうになりながら、うろたえる友達の背中を押して、とにかく車まで行こう、ここは安全じゃないから、となだめつつパーキングロットを歩く。
すぐそこにいた警備員のおじさんに、友達が今起こったことを説明するけれど、警察に行ってみたらと言われただけらしく、どっちみち警察は何もしてくれないし行くだけ時間の無駄なので、とりあえずアメリカに帰ろう、と出発。

関係ないんですが、ティファナからサンディエゴに帰る時いつも、タイムスリップしていて現代に戻るような気分になります笑

友達はかなり気が動転していて、国境の間近まで来るもExitを逃す。
途中でホテルに立ち寄り、ロビーにいた人に国境までの帰り道を聞く。
去る時に、友達がその場にいた人に「母親の形見のチェーンが盗まれた。だから祈ってください。僕の為じゃなくて、盗んだ男のために。彼の人生が良くなるように」と伝える。
それを聞いてわたしはますます悲しくなってしまいました(T__T)
いつもちゃらんぽらんやってる友達やけど、まぁできた人間や...

わたしは両親健在だけれど、離ればなれに住んでいるから、会いたい時に会えない辛さはよく分かる。形見を失くすとなると...想像しただけで胸がつぶれてしまいそう。

もしわたしがハンドバッグを持ってきていたら、間違いなくバッグの方を取られていただろう。そしたらわたしの大したことないものを盗られただけで済んだのに...

昔別の友達が南米で耳につけていたイヤリングを引きちぎられた、と言っていたのですが、やっぱりパッと目につくものを盗られます。治安の悪い所へは、着飾るのはぜったいにタブー。

アメリカへの入り口で車が(いつも通り)渋滞、小物やスナックを車の間を縫って売り歩くメキシコ人の姿が。中には小さな子供たちが大道芸まがいのことをしてチップをねだっている。時刻を見ると、夜中1時半。親に働かされているのだろう。

ティファナを越えると美しい景色に変わるメキシコとは言うけれど、やはりまだまだ貧しい国。きっとあの男も家族を食べさせるためにやったんやろうと、二人で話していました。
今まで観光客を気軽に連れて行っていた友達、せめて夜はあぶないからやめてと言っても聞き入れてくれなかったけれど、今回の件でもう少し安全に気を遣ってくれるようになるんやないかな。

それにしても、あのチェーンのことを思うと今でも胸が痛みます。(T__T)

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